ペンギン・ハイウェイの映画ネタバレレビュー!謎のお姉さんは人間なのか?

今年8月に上映開始した森見登美彦先生原作の映画「ペンギン・ハイウェイ」。CMでも印象的だった魅力的なお姉さんと、少年アオヤマ君の住む街に突如現れた大量のペンギンの正体に迫る映画だ。
ペンギンはなぜいきなり街に降り立ったのか?そしてアオヤマ君が想いを寄せるお姉さんとペンギンの関係はなんだったのだろうか。

まず物語の主要人物であるお姉さんとアオヤマ君について紹介しておこう。

お姉さんから「少年」と呼ばれるアオヤマ君は小学四年生で、科学者を志す優秀な頭脳の持ち主である。毎日自作の研究ノートに日々の発見を書き込んでおり、お姉さんのおっぱいというノートも作って、胸についての考察も緻密に行っている。
そしてそんなアオヤマ君が将来の結婚相手として決めているのが、近所の歯科助手として働いている「お姉さん」である。溌剌として、活発な性格の彼女は、アオヤマ君と個人的にも親しく、ときたま喫茶店でアオヤマ君の父親が迎えにくるまでお茶するという距離感でもある。

そんな二人が暮らす街に、ある日突然現れたのが大量のペンギンであり、彼らは町中のどこからか現れては、どこかに向かう。平凡な街に現れた怪奇現象とも思えるこの出現に、アオヤマ君の好奇心は刺激され、友達のウチダ君と共に調査を始めるのだった。そして調査を進めるうちに、どうやらペンギンとお姉さんの間に何らかの関係があることがわかっていく。

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と、ここまで人物紹介とあらすじを大まかに書いたが、それではお姉さんとペンギンの謎を解明するためのキーワードを見ていこう。

まずお姉さんとペンギンの間につながりがあるとわかったきっかけである。
アオヤマ君はペンギンがどこへ向かっているのかの調査をクラスのいじめっ子に邪魔される。そのあとにお姉さんに助けてもらうのだが、その時にお姉さんがコーラを投げるとなんとそのコーラがペンギンに変身する。お姉さんはペンギンを出せるという発見を、その時にアオヤマ君は得るのである。

そしてもう一つ欠かせないのが、「海」と名付けられたエネルギー源とみられるものの発見である。
アオヤマ君とウチダ君、そして転入生のハマモトさんの三人は、ペンギンが入っていく森の奥に開けた草原を見つける。そしてそこには青くて丸い大きな塊が宙に浮かんでいた。それはどうやら水の塊のようでもあり、三人はそれを「海」と名付けて毎日観測データを集めていく。

調べを進めるうちに、海の変化の周期とお姉さんの調子の変化に関連があることが判明し、お姉さんとペンギンのエネルギー源が海であることがわかったのだ。海から離れていくと、ペンギンは泡となって消えてしまい、お姉さんの体調もすこぶる悪くなってしまう。見逃せないこの事実はある一つの仮説を導き出した。

お姉さんは、人間なのか?

エネルギー源が正体不明の海であるという事実は、明らかに人間の構造とは異なるものである。アオヤマ君はこの事実に頭をかかえるが、そんな中、海の膨張が始まる。

海は日に日に膨張していき、街全体を飲み込んでいく事態となってしまう。海が放つ水滴のようなものがものに触れるとものが破壊されてしまうので、住民は次々に避難していく。

補足として、アオヤマ君とハマモトさんが海に関する研究を一緒にしていることが気に食わないクラスのいじめっ子が、海のあるところに乗り込んできた時があった。海が小さな水の塊を放っていじめっ子達を襲おうとした際、お姉さんがまたペンギンを出して、ペンギンが海から発せられた水滴を破壊できるということがわかっていた。

このことから、ペンギンとお姉さんは街を襲おうとする海を破壊し街を守る存在なのだというアオヤマ君の推測がなされたのである。そしてそのことをお姉さんと共有し、海の中に飲み込まれてしまったハマモトさんのお父さん達を助けるため、ペンギンと一緒に海の中へ飛び込んでいくのである。ちなみにハマモトさんのお父さんは大学の理系研究の教授であり、海の存在を突き止めて調査している時に海の膨張に巻き込まれてしまったのである。

海の中へ入ると、そこには最果ての世界のような光景が広がっており、退廃的な雰囲気をまとっている世界だった。

結末として、海をエネルギー源としていたお姉さんは海の消滅とともに消えてしまう。
しかしながら、お姉さんにはそれまで自分の人生についての記憶もあり、お姉さんの運命がどこから定められていたのか、どこまで存在した人間として扱われていたのかは不明なままだった。

海の正体としては、一つの宇宙のようでもあり、世界の外側に広がる宇宙ではなく世界の内側、穴として存在する宇宙として捉えられていたといっていいだろう。

世界の秩序がねじれた構造といい、海の中の世界の描写といい、監督が他のSF作品に影響されているということは見て取れる。背景描写の書き込みはそこまで細かいものではなかったが、表現したい世界観も明確だったので楽しめる作品となっている。

全体的に、キャラクターが魅力的なデザインであるということや、科学的に追及しようとするストーリーにお姉さんとアオヤマ君、そしてハマモトさんのロマンスも織り交ぜられており、アニメ映画として質が高いものだと言える。個人的には、この映画の実写版もおもしろそうだと思える作品だった。

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【ネタバレ注意】映画ペンギンハイウェイの2分で分かる内容ネタバレ!賢い少年ときれいなお姉さんの謎、そしてさようなら。
2018年8月17日公開の映画、ペンギンハイウェイ。森見登美彦の小説を映画化した、少年とお姉さんのひと夏の物語です。原作を読んだことがある人にはおなじみかもしれません。独特の文体とわちゃわちゃ動き回る風変わりな登場人物が読者をひきつけてやまないのが森見登美彦作品です。 いままでも「四畳半神話大系」「夜は短し歩けよ乙女」など、原作の雰囲気は損なわれることなく映像化されてきています。今回もきっと原作ファンもうれしくなるような映画化に違いないと思い、早速観てきました。